オクトーバーフェストビア

オクトーバーフェストでビールといえば、オクトーバーフェストビア(das Oktoberfestbier)!オクトーバーフェストのためだけに醸造され、オクトーバーフェスト期間だけ飲める特別なビールです。

価格はテントごとに差がありますが、年々上がっており、2017年は1杯(1L)10,60〜10,95€(前年と比較して約2%程度の値上がり) でした。

1. オクトーバーフェストビアとは

オクトーバーフェストビアは口当たりの良いラガービールで、アルコール濃度は、通常のラガービールより少し高めの6%前後

テントで提供されるオクトーバーフェストビアのサイズは1Lのマスグラス(Maß)しかありません。1Lといっても、ビール自体の飲みやすさと会場の雰囲気もあって、意外とゴクゴク飲めてお代わりできてしまうので、飲みすぎ注意です!

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ミュンヘンの6ブリュワリーだけ:

オクトーバーフェストビアの醸造は、ミュンヘン市にある6のブリュワリー(*)のみ許されています。つまり、オクトーバーフェストはビールの祭典というより、ミュンヘンビールの祭典といった方が正しいかもしれませんね。

また、オクトーバーフェストビアは、オクトーバーフェスト会場だけでなく、オクトーバーフェスト期間中(前後含む)であれば、通常のビールと同様に市販されています。各ブリュワリーの営業所や、街中のスーパーマーケット、リカーショップでも取り扱いがあり、8月中頃から店頭に並び始め、在庫がなくなる11月頃まで購入することができます。

  • *Augustiner(アウグスティーナ), Hacker-Pschorr(ハッカー・プショール), Hofbräu(ホフブロイ), Löwenbräu(レーベンブロイ), Paulaner(パウラーナー), Spaten-Franziskaner(シュパーテン・フランツィスカーナー)の6ブリュワリー
ヴァイスビア(Weißbier):

テントによっては、小麦麦芽を原料に用いたヴァイスビアもあります。ラガービールよりはマイルドな味わいで、きめ細かい泡がたち、バナナの香りがします。通常、ヴァイスビアはそのビールの特性から、500mlの背の高いグラスで飲むことが多いです。


Paulanerのヘレス(左)とヴァイスビア(右)

ミュンヘンなどの南ドイツではヴァイスビア(Weißbier)ですが、ドイツの他の地方ではヴァイツェン(Weizenbier)と呼ばれることが多いです。日本では、白ビールとも呼ばれますね。

ヴァイスビアで有名なブリュワリーは、FranziskanerPaulaner、オクトーバーフェストでも、この2つのブリュワリーのヴァイスビアを飲むことができます。

marke-franziskaner
marke-paulaner

Spaten-Franziskanerと契約しているMarstallテントでは、Franziskanerのヴァイスビアが置いてあります。また、Paulanerと契約しているKäfer Wies’n SchenkeとWeinzelt(*)では、Paulanerのヴァイスビアを飲むことができます。

  • *Weinzeltはワインとゼクト(ドイツのスパークリングワイン)が中心で、唯一飲めるビールがPaulanerのヴァイスビア。その他のビールはありません。
ラドラー(Radler):

女性に人気なのが、ラドラー。ビールとレモネードを1:1で割った飲み物です。レモネードの風味がビールが苦手な人にも飲みやすく、サワー感覚で飲めるので、喉が乾いている時などにオススメです。こちらも1Lのマスグラスで提供されます。

ラドラーは、ほとんどのビアテントで注文できますが、Hacker-Pschorrのテント(*)では、レモネードとビールを別々に注文して自分で混ぜなければいけません

  • *Hacker FestzeltとPschorr Bräurosl
アルコールフリービール:

実は、アルコールフリーのオクトーバーフェストビアもあります。Augustiner-Festhalleとビールの置いていないWeinzelt以外のビアテントでは、アルコールフリー・オクトーバーフェストビアの取り扱いがあり、お値段はオクトーバーフェストビアと同じ価格。こちらも1Lのマスグラスでの提供です。

市販はされていないので、オクトーバーフェスト会場でのみ飲むことができます。

2. 6のブリュワリー

オクトーバーフェストビアを提供しているミュンヘンの6ブリュワリーは、いずれも歴史は古く、14世紀〜17世紀前半に創業しています。

創業時期は明確ではないものが多く、税金などの届け出によって公的に確認出来た最古の年を創業時期としている場合が多いです。実際はもっと前からビールを醸造していたようです。

日本でも馴染みがあるのは、アサヒビールにライセンス提供し日本で国内生産されているLöwenbräuと、以前ホフブロイハウス東京があったHofbräuではないでしょうか。

a. Augustiner Bräu München

ブリュワリーの歴史:

marke-augustinerアウグスティーナは1328年創業の、ミュンヘンで一番古いブリュワリーです。アウグスティーナ修道院がビールの醸造を始め、長い間ミュンヘン市民に親しまれてきました。

アウグスティーナは他のブリュワリーと違い、国際的な飲料グループに参加せず、地元に根ざしたブリュワリーです。ビールの味やクオリティだけでなく、伝統を大事にしていることも、ミュンヘン市民に愛される理由の一つでもあります。

オクトーバーフェストビア:

アルコール度数はぴったり6%です。

b. Hacker-Pschorr München

ブリュワリーの歴史:

marke-hackerpschorrハッカー・プショールは、元々はHacker(ハッカー)とPschorr(プショール)という二つの別々のブリュワリーでした。

Hackerの創業は1417年、ミュンヘン市内中心地に開業したレストランから始まります。1793年にJoseph Pschorrと、ブリュワリーHackerの娘のMaria-Theresia Hackerが結婚し、ブリュワリーを引き継ぎますが、Joseph Pschorrは1820年に更に新しいブリュワリーPschorrを開業します。

その後、二人の息子がそれぞれブリュワリーを受け継ぎ、長らく別々のブリュワリーとして運営されますが、1972年に一つに統合されました。現在はPaulanerグループの傘下に入っています。

オクトーバーフェストビア:

okfesbier-hackerpschorrHacker-Pschorrのオクトーバーフェストビアは、アルコール度数が一番低く、5.8%です。また、Hacker-Pschorrのビール瓶は栓抜きのいらないタイプ、金具を指で押し上げるとポンッと簡単に開けられます。

c. Hofbräu München

ブリュワリーの歴史:

marke-hofbraeu1589年にWilhelm V. 公爵によって設立され、19世紀にブリュワリーは公営化され、ビールの醸造はミュンヘン市の中心から少し東に移されました。現在ではビアガーデンが併設されたホフブロイケラー(Hofbräukeller)として営業しています。1986年にブリュワリーはミュンヘン市郊外のMünchen-Riemへ移設され、現在はRiemでビールの醸造が行われています。

ブリュワリー所有のレストラン「ホフブロイハウス(Hofbräuhaus)」は、ミュンヘン観光の目玉となっています。

オクトーバーフェストビア:

okfesbier-HBundSpatenオクトーバーフェストビアのアルコール度数は6.3%、6ブリュワリーの中で一番高い度数です。

d. Löwenbräu

ブリュワリーの歴史:

marke-loewenbrauレーベンブロイの起源は1383年と言われていますが、公式の創業年は1524年です。当時、Löwengrube通り17番地に、ビール醸造者のJörg Schnaitterが住んでいたことが確認されているため、1524年創業とされています。

19世紀になると、ブリュワリーを所有していたGrey家が現在の直営レストランLöwenbräukellerのあるNymphenburger Straßeへブリュワリーを移転し、著しい成長を遂げました。

Löwenbreäuは、1997年にSpaten-Franziskanerと統合し、Spaten-Löwenbräuグループとなった後に、2003年にベルギーのビアメーカーであるInterbrew(現Anheuser-Besuch InBev)に買収されたため、今ではグローバル飲料メーカーの傘下に名を連ねています。

オクトーバーフェストの二次会:

直営レストランのLöwenbräukellerではオクトーバーフェスト期間中に“Wiesnzelt” Clubbingと題して、夜な夜なパーティーが開かれています(日曜は除く)。オクトーバーフェストは深夜1時で閉まってしまうので、ちょっと物足りないという人は足を運んでみてはいかがでしょう。座席の予約もできます。

オクトーバーフェストビア:

okfesbier-loewenbraeuアルコール度数は、6.1%です。

e. Paulaner Brauerei München

ブリュワリーの歴史:

marke-paulanerパウラーナーの名前は、ミュンヘンのNeuhauser Straßeに存在したパウラーナー修道会に由来します。ブリュワリーのロゴも修道会の創始者Franz von Paola(Franciscus de Paula)が描かれています。

ミュンヘンのパウラーナー修道会の僧侶によって、1634年、Neudeck ob der Au修道院でビールの醸造が始まりました。その当時、ビールは飲む栄養であったため、アルコール度数が高く、濃い味で栄養価の高いビールであるサルヴァトールビール(Salvator)が醸造されていました。Paulanerでは、今でもサルヴァトールビール(Salvator)を特別な商品の一つとして醸造しています。

パウラーナーは1928年、ミュンヘンにあったブリュワリーGebrüder Thomasと合併します。1985年には6ブリュワリーの一つであるHacker-Pschorrを株式傘下に迎え入れました。

オクトーバーフェストビア:

okfesbier-paulanerアルコール度数は6%です。

パウラーナーはSpezi(シュペッツィ)という炭酸オレンジジュースとコーラを混ぜたソフトドリンクも有名です。

f. Spaten-Franziskaner

ブリュワリーの歴史:

marke-spatenmarke-franziskanerシュパーテンは1937年に創業し、1807年に現在のオーナーであるSedlmayer家が引き継いでいます。Sedlmayer家は、1858年から、同時に別のブリュワリーであるFranziskanerも運営していましたが、1922年、FranziskanerとSpatenは統合され、Spaten-Franziskanerとなりました。

現在ミュンヘンで飲まれているビールはヘレス(Helles)と呼ばれるラガービールです。しかし、その歴史は浅く、チェコでピルスナーが開発された後に、ミュンヘンへ伝わります。それまでは、色味の濃いデュンケルビア(Dunkelbier)が主流でした。

Spatenはヘレスビールをミュンヘンのビール市場へ投入した最初のブリュワリーで、1894年に初めて北ドイツへの輸送用ビールとしてMünchner Hellを醸造しました。

オクトーバーフェストビア:

okfesbier-HBundSpatenオクトーバーフェストビアは5.9%のアルコール濃度です。

3. ブリュワリーとテント

テントで飲めるオクトーバフェストビアは1種類、テントが契約しているブリュワリーのビールしか飲めません。もし、色々なオクトーバーフェストビアを試したい場合は、スーパーマーケットなどで買って、ホテルで飲み比べしてみてくだい。

どのテントで、どのブリュワリーのビールが飲めるかは、以下の表から。

ブリュワリーとテントの関係
Augustiner Fischer-Vroni
Augustiner-Festhalle (*1)
Festzelt Tradition (*2)
Hacker-Pschorr Hacker-Festzelt (*1)
Pschorr-Bräurosl (*1)

Herzkasperl-Festzelt (*2)
Hofbräu Hofbräu Festzelt (*1)
Zur Schönheitskönigin (*2)
Löwenbräu Schützen-Festzelt
Löwenbräu-Festhalle (*1)
Paulaner Armbrustschützenzelt
Winzerer Fähndl (*1)
Käfer Wies’n Schänke(ヴァイスビアあり)
Weinzelt(ヴァイスビアのみ)
Spaten-Franziskaner Marstall(ヴァイスビアあり)
Ochsenbraterei(Spatenbräu-Festhalle) (*1)
Schottenhamel
  • *1 太字はブリュワリーのテント
  • *2 Oide Wiesnのテント